2002年 |
1月27日 | 大阪国際女子マラソン欠場 |
走るか走らないかについて悩んだが、考えるよりも前に練習が出 来ていないので、今回また、欠場を決めてしまった(本番の約2週 間前)。本来ならば113番のナンバーカード。スタート前のテレ ビ放送で、表情もちゃんと映っていた112番と114番の選手は 練習仲間、その二人の間に私がいるはずだと思うと、自分で自分の 体調を合わせられなかったことにこみ上げてくるものがある・・・ しかし「走りたい。」という気持ちだけで走れるほど、マラソン は甘くない。きちんとした練習の積み重ねがあってこそ、最後まで 競技を続けることが出来るのだ。 大阪女子マラソンに向けて、何とか完走を、年末年始の練習で無 理をしていると、故障は悪化していき、2週間前の日曜日に30キ ロのゆっくりのジョグ(キロ6分後半)さえ出来ないのだから、結 果は見えている。完走はおぼつかないのだ。キロ4分30秒で大阪 城まで(15キロ地点)走ろう、とも考えていたが、それすら危う い、ジョグができない体調で、キロ4分30秒で走ることが出来る はずはない。出走をあきらめなくてはならないのは当然である。 大阪女子は5回目のエントリーにして、2回目の欠場。縁のない (=調子をあわせにくい)マラソン大会といえるかもしれない。 どちらの市民マラソン大会でも、多年度連続出場されている方々の 偉大さを感じ入っている。 私の故障は今に始まったことではない、東京女子(昨年11月) の前から再発していた坐骨神経痛を引きずったままで、休養をとっ ても体調が上向かず、むしろ悪化しているかもしれない。欠場を決 意した事情に至っては、日常生活での歩き方もおかしくなってきて いるのだ。 大阪女子マラソンの2週間前には、淀川ランナーズのメンバーと 駅伝だった。駅伝の朝には大慌てでお皿を洗っていて、お皿がふい に割れて親指を切ってしまい、これまた大慌てで休日外来に駆け込 み4針も縫われる始末。スタート30分前に会場到着だったが、駅 伝ゆえにアンカーに廻してもらい、何とか迷惑をかけずにすんだ。 しかも、怪我をしたのは朝8時〜9時半の間、モーニングケアの 仕事中(週4日、ホームヘルパーとして仕事をしている)だったの だ。その日は祝日とはいえ、月曜日、ヘルパーの仕事に祝日もあっ たものではないと自分の仕事に自負を持っていた。9時半までの仕 事だから、時間きっちりに終わらせれば、そのあと移動しても午後 からスタートの駅伝には間に合う、そんな気持ちで仕事を入れてい た。時間きっちりに終わらせるために最後の下膳(=お皿洗い)に も力が入ったのだろうか?大方の見方は、お皿にひびでも入ってい たのか・・・というところだが、いずれにせよ私の見通しの甘さか らきている一件だった。 外傷は10日ほどで抜糸も済むが、やはりわたしの気のゆるみが もたらした怪我と思うと、大反省である。ヘルパーの仕事もはや一 年を越え、どこかで馴れ合いの気持ちが出ているのかもしれない。 ありとあらゆることがわたしの気持ちにブレーキをかけてくれた。 故障もやっぱり気のゆるみから来るのかもしれない。どんどん走 りたいだけ走れるときに、無理を無理とも思わず走ってしまう。体 のケアは後回しで走れる時間目いっぱい走っていたら、気付かない うちに疲労は蓄積していたのだ。 ここで大阪女子で無理をしきってしまうと、秋まで、いやそれ以 上に引きずってしまうだろう。何とか調整して、春までにはちゃん と走れるようになりたいものだ。3月の名古屋女子?とても間に合 わないだろう。「ガラスの脚」といわれてしまったわたしの脚。冷 たく凍りついたままなのだろうか? また寒波がやってくるようだ。またまた冬眠の季節なのか。はや く春風が吹いてくるように・・・ <指を切っても走れます> 当然、走る動作には直接関係のない、指先を切った怪我くらいだ と、走れる。特に傷口のための痛み止め薬は、身体全体にも効くよ うで、服用中は神経痛も緩和されたように思える。 ところが傷は化膿直前、なかなかふさがらずに熱を持ってズキズ キが続いている。しかし今は冬場で助かった!寒がりのわたしがい つも愛用しているフリースの手袋から、4針縫った親指だけを出し て走るのだ。そうすると冷たい寒気にさらされて、指の感覚はなく なっていく、当然、ズキズキした痛みをほとんど感じなくなってい く。 当初はこのことに気付かず、包帯を巻かれた指を無理やりフリー スの中に押し込めて、温められてさらにズキズキが増していた。冬 場、多くのマラソン選手が手袋を着用するのは、気候的な寒さ防止 と、走ることにより血流が脚部中心に廻るための手指先の冷え防止 の両方だと気付くまでに時間はかからなかった。温められて痛む傷 口は、だったら、とことん冷やせばいいのだ。 わたしの先輩で、頭を三針縫った状態のまま国際女子マラソンを 走った人もいるくらいだ。指くらい、大丈夫! <私の故障について> 坐骨神経痛、というランナーには付き物の症状のようである。 多くの人が「原因は腰」と言ってくれるのだが、わたしには腰痛 の自覚症状はほとんどない。坐骨神経あたりの筋肉の緊張が続き、 張っている筋肉で神経を圧迫して、痛みが出ている、という判断が 一番自分の感覚に近い。痛みもお尻の下あたりから太ももの裏側、 ふくらはぎあたり、と、あちこちに出てくる。 しかしこれほど休養をとっても緊張がほぐれないこともないだろ うから、もしかするともっと大きな骨盤のずれ、とか???念のた め、MRI検査では異常なし〜とのこと(=相当な音量が出るMR I検査器の中で、Z・Z・Z・・・とうたた寝をしてしまい、担当 の技師にあきれられてしまった・・・) 今でも2日に一度くらいは10キロをゆっくり1時間以上かけて 走っている。でも、ジョグ以上の練習をすると、その日は、夜寝て いるときでもお尻から下がしびれてきて目がさめるような状態。寝 相が悪いわけでもないのに、じ〜んとしびれてくる。 今はただお風呂や電気座布団で温めて、ストレッチをしたり、簡 単な体操をしたりしている。あとは週1〜2回マッサージにかよっ ているくらい。(マッサージが一番ほぐれるような気がするので) いろいろな療法を試してみたが特効薬がなく、それでもあきらめ ずに少しずつ取り入れてみたりしている。 暖かい気温が続くとましなので、早く気候が暖かくなればいいな、 と気長に春を待つ気分。 どなたか、良い療法をご存知の方、ご伝授ください。 |
2月3日 | 別府大分毎日マラソン応援 |
飛行機のバーゲン切符を早くから手配してもらい、1泊2日で別 大マラソン応援に行ってきた! 沿道で見る男子マラソンは、ほんとうに迫力があった。別大国道 は道幅が広いし、強い風も吹くと聞いていたので、声援が届きにく いと思い、大きな音のでるチアホーンを持参。男子選手の勇姿に興 奮して、吹きまくっていた。 一般参加の選手に応援同行しているので、前日の開会式から参加 することが出来た。別府の市街地に建てられたビーコンプラザにて、 招待選手ももちろん一緒。テレビで見るエリート男子選手はしっか りした体格だと思っていたが、間近で見ると皆さんほとんどが細身 の細身で、こんなにほっそり軽そうなので速く走ることができるの だろうか、よくこんなに細くて力強く走れるな、という印象。開会 式待ちの時間にミーハーをして、いっしょに写真をとってもらった り握手をしてもらったりした。 女子マラソンのときは、自分も一般参加とはいえ競技者として参 加しているので、前日でも選手の緊張感を鑑みてミーハーをする雰 囲気ではないが、今回ははじめて見る男子マラソン選手を前に、一 ファンとしてわくわくした気持ちで写真に収まってしまった。 小雨の前日からうって変わって当日は晴天。真冬にしてはめずら しいくらいの青空に、別府湾からの強風が予想される。それでも気 温は極寒の時期にしてはおだやかで、陸上競技場のフィールド内は 芝の上に腰を下ろしてストレッチを始める選手が大勢いた。芝の上 でストレッチができるくらいならば、走り始めても寒すぎずちょう どいい、とおもっていたら、男子選手にとっては気温が高く感じる こともあるそうだ。 ほとんどの選手が陸上競技場内のトラックでウオーミングアップ をしているようで、トラックを周回する各選手に見とれてしまう。 これからさらに上を狙っている実業団の選手、自分の中の一区切り にするべく今日のレースに臨む選手、また各地の市民マラソン大会 で次々入賞を果たす市民ランナー選手。42キロあまりの距離にそ れぞれの思いを込めて走るのはみな同じはず。 晴れ渡った空のもと、スタートを陸上競技場で見送り、地元の別 府マラソンクラブの方の車に乗せてもらって途中往路16キロ(復 路33キロ)付近へ。折り返しコースなので、別府湾沿いのこのあ たりで待っているのがベストか。同行の応援団の中には、空路折り たたみ自転車を運んできた彼女もいる。 沿道で待っているとまず、交通規制のパトカーが通り、車道は完 全にランナーだけのためのものになる。選手が走って来るはずのコー スの上空を見上げると、ヘリコプターが飛んできている。「もうす ぐトップ選手が来る!!!」 計時車が近づき、報道車が見えるころには、それに続くランナー の姿も遠くから見え始める。「来た!!!」ただ人が走ってくるだ けなのにどうしてこんなにわくわくドキドキするのだろう。 当初は、知っている選手を応援するために吹こうと思っていたチ アホーンだが、なんのなんの、テレビで見るのとは違う、沿道から 見るとかなり細めの選手が力強く走ってくる姿に興奮して、パオー ンパオーンと吹きまくってしまった。 今年のレースでは、事前にE−メール登録することにより、5キ ロごとの通過タイムがチャンピオンチップからの速報メールとなっ て配信されてくる。応援する予定の仲間の通過タイムが即座にわか るので、沿道で待っている間にもはらはらドキドキ。 往路では予想されたように強い向かい風なので、この時点で飛び 出していた先頭の一人を除き、第2グループから選手たちが集団と なって走ってくる。いくつかの集団が過ぎ、市民ランナーの大きな 集団も来た。20〜30人も含まれているその集団に、わたしの見 知った顔がいくつかあった。みんな自分のゴールに向けてこれから の道中をしっかり見据えているようだ。ぞくっとするほどの気迫を 感じる。 コースはそのあと別府の中心街で折り返して、また同じ別府湾沿 いの国道を大分まで戻る。応援団のわたしたちも大慌てで歩道橋を 渡り、渡ったその場所が復路33キロ過ぎだ。応援部隊に同行させ てもらっていた別府マラソンクラブの方から温かい缶コーヒーまで ご馳走になり、ほっと一息つく間にも、チャンピオンチップからの 速報メールで5キロごとの通過タイムが知らされる。 またもや選手が走ってくるだろうコースの先の空を見上げて、中 継のヘリコプターが飛んでくるのを発見。あのヘリコプターの下で トップ選手が走っているのだ。このあたりコースは大きくカーブし て、ゆるく上っている。まるで競輪のバンクのような傾斜までつい ている。レース後半になり脚に来るところだ、この傾斜さえも走り づらいだろう。 風の強かった往路から折り返しているので、いまは選手にとって は追い風。往路ではいくつもの集団だった選手達が見事にばらけて いる。外国人選手が、そして日本の実業団選手が、どんどん前を通 過していく。余裕を感じさせる走りの人、いっぱいいっぱいそうな 感じの人、ほんとうに様々だ。 2時間40分のゴールタイムを狙う市民ランナーにとって、35 キロ関門(2時間11分)通過がひとつのポイントとのこと。次々 に前を通っていくランナーたちに熱く声援を送りつつ、自分の応援 する選手、見知った顔の選手が無事通過するのを、今か今かと目を 凝らしてさらにコースの遠くを探す。もうそろそろ、もう来てもい いころ、もう来ないと関門もあるし・・・・。遠くから走ってくる その姿を見つけるやいなや、チアホーン全開! 男子マラソンは厳しい、トップがゴールして後30分くらいでも う、ゴールが閉鎖されてしまう。ゴールタイムを見据えてイーブン ペースで完走しようと狙っても、途中関門で引っかかってしまう。 各地の市民マラソン大会で入賞常連のランナーが集まっているのに、 途中でレースを棄権せざるを得なくなってしまう。事前の準備を周 到に周到を重ねていても、レースを中断しなくてはならないことも あるのだ。 今年は私自身、故障でじゅうぶんな練習が出来ずに、1週間前の 大阪国際女子マラソンを欠場してしまっている。スタートラインに すら立てなかったわたし、厳しい関門制限を見据えて果敢にスター トしていった男子選手達。自分の甘さがどこかで出てしまっている のを感じた。 <地元の別府マラソンクラブの方々に感謝> 今回はQ―RC選手の応援団として別府入り。空港に到着したわ たし達を迎えてくださったのは、松葉杖をついた、別府マラソンク ラブのHA氏だった。直前の交通事故により、膝の靭帯を切って、 緊急入院が必要であるにもかかわらず、その入院を翌週に引き伸ば してまで、マラソン大会に参加するQ―RC選手たちを声援し、応 援団であるわたし達をも、もてなしてくださった。そのHA氏のご 厚情に感謝しつつ、Q―RC選手団とHA氏との熱いつながりに思 いをはせてしまうのであった。 <ビデオ録画されている方へ> どうぞご確認ください〜私の応援ポイントは、16キロくらいと、 33キロくらい。先頭が通過するときに沿道からのチアホーンの音、 しっかりビデオにも録音されていた。さらに自分の知っている選手 をいち早く見つけて、とお〜〜〜くから鳴らしまくっていたことも、 言うまでもない。(いちおう事前に、「姿を遠くから見つけたら、 チアホーン鳴らして応援してもいいですか?」と各選手の了解を得 ておく〜大きな音に選手側がずっこけたりすると大変なので!) 33.4キロ付近(先頭の通過タイム1時間40分くらいの時間) では、チアホーンの音ともに、女優ひろこ、またまたテレビ出演!! 「ガンパレ!」とかいたプラカードを両手で下げて、しっかり映っ てしまった。とはいえ主役はもちろん選手の皆さん、わたしは助演 女優かな〜。 |
2月11日 | 第31回斑鳩の里法隆寺マラソン |
(ハーフ) 1時間30分20秒 |
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この大会は、世界遺産にも登録されている法隆寺や三塔をのぞみ ながらぐるりとひとまわりして斑鳩の里の雰囲気を味わえるレース で、私のお気に入りのひとつ。毎年奈良市民マラソンと同日開催だ が、午前と午後に分かれているので、レースのはしごを楽しんだり していたが、今年は故障中の身、そんなに飛び跳ねてばかりいられ ない。出走するかどうかさんざん迷ったあげく、神経痛を抱えてい る体調と相談して身体を冷やさないようジャージで走ることにする。 それでも果たしてハーフの距離を走れるのだろうか? ウォーミングアップも兼ねて、最寄の私鉄の駅から3キロほどの 距離を歩いて会場到着。本来ならばJR法隆寺駅から歩けば1キロ ほどなのだが、わざと歩く距離を伸ばしてみた。今年から会場は立 派な体育館に変更され、更衣室や荷物預かりも充実していて、出走 準備も整えやすい。 ところがスタート直前から、大きなボタン雪が降り始める。かな りの量が、風に飛ばされ斜めに降っている。 寒がりの私は、ロングTシャツにベストを重ね、ロングスパッツ にハーフスパッツをはいた上にさらにジャージといういでたち。も ちろん手袋もフリースだ。最近見つけたGONAのこのジャージ、 ウレタン入りで保温力抜群!上下スーツで着ていると、軽くジョグ をするだけでも中はじわっと汗をかく。しかもそれをうまく発散さ せてくれるのか、汗が冷えて寒く感じることもない優れもの。たい そうお気に入りのジャージである。 が、しかし、ジャージ姿にナンバーカードをつけてスターとライ ンに行くと、「小川さん、それ走る格好とちゃうやん。」とあきれ られたりした。いやいや、格好は気にしない、寒いのにスパッツだ けで出走すると身体がより冷えて、命取りになるのだから・・・と 心の中で言い訳。 レースでは終始脚の状態をにらみながらの21キロとなった。と にかく無理をしてオーバーペースになることのないよう、流しの感 覚で走り始めた。最後まで行き着けるかどうか、自分でもわからな い。脚が冷えてしびれがきたら、途中で止めるつもりである。走っ ているのに筋肉が冷えていくというのは、ほとんど理解しがたい状 態だ。けれど保温性の高いジャージのおかげで脚が冷えるというこ ともなく、10キロを過ぎて最後まで走れそうだということを確信 できた。最初から無理をしなかったので後半ペースが落ちることも なく、むしろ上がり気味で、しっかり脚を動かしているという感覚 でゴールできた。神経痛によるしびれが出始めると、自分の意志に 反して脚が動かなくなるのだ。脚が疲れて動かなくなるのとは異な るこのしびれ感、どうしようもない。 ゴールのあとは、大ぶりのおわんにたっぷり盛られた豚汁サービ スに直行。レース中はやんでいた雪がまた斜めに降り始めたので、 かじかんだ手でしっかりおわんを抱えて移動、建物の中でおいしく すすることにした。 斑鳩の里をぐるりひとまわりするこのレース、アップダウンもあ るし曲がり角がかなり多い。国道を回避するために狭いガードをく ぐらなくてはならず、けっして走りやすいとはいえない。しかしの どかな雰囲気ともてなし・参加賞のひとくふう(=毎年形の違うちょっ と可愛いバッグ)が気に入って、例年参加を決めている大会だ。 |
2月17日 | 第9回泉州国際市民マラソン〜ブラインドランナーと走る |
この泉州マラソンで、初めてブラインドランナーの伴走としてレー スを走ることになっていた。半年以上も前から伴走メーリングリス トの関係者を通じて、伴走志願。マッチングできたのは、今回がフ ルマラソン2回目というわたしよりすこし年若いSさんという女性 の方だった。 とはいえ、ブラインドランナーと接するのは今回が初めてではな い。4年程前に、偶然、自宅の近所に住む男性のブラインドランナー Mさんと知り合いになり、しばらくの間、週1回定期的にいっしょ に走ったり、電車&バスを乗り継いで山を走りに行ったりしていた。 それまでは視覚障害者と接したこともなかったわたしは、その運動 能力と前向きな性格(〜本人は、「僕、のん気なだけ」と謙遜して 言うのだが・・・)にすっかり心を動かされていた。 いつかはレース本番でいっしょに走りたい。強く願うようになっ たのだが、男性のMさんは相当な走力の持ち主。ジョギング程度な ら一緒にできるのだが、レースとなると話は別。男女差によるペー ス配分の違いも考えられ、とてもMさんには付いていけそうにない。 わたし程度の走力でも、必要としている人がいるかもしれない、そ んな中から、今回の伴走志願となったのだ。 待ちに待ったそのSさんとマッチングできたのは、昨年11月も 末のことだった。 ところが、11月中旬のフルマラソン完走により、故障に陥って しまったわたしは、思うように走れなくなってしまった。12月中 旬に一度顔を合わせ、堅く握手をして泉州の完走を祈願。年末年始 のお休みにいっしょに走りましょう、と言っていたのにもかかわら ず、更なる悪循環でわたしの脚が動かない!そしてついに1月下旬 の国際マラソンを欠場するほどになってしまった・・・。 にもかかわらずわたしを信頼してくださって最後までわたしの体調 が上向くのを待っていてくださった。「小川さん、故障だったら伴 走は結構です。」と断られても当然だったのに。明るく前向きなS さんと走っているお仲間はたくさんいらっしゃるし、Sさんの伴走 をしよう、と申し出ていた人も複数以上いるとのこと。それなのに 「伴走メーリングリスト」を通じてカップリングされたわたしのこ とを優先してくださっていたのだ。 当日は、Sさんと、いつもSさんと一緒に練習されている皆さんと もターミナル駅で合流し、スタート会場に乗り込む。ナンバーカー ドの受け取りから、チャンピオンチップの取り付け、ナンバーカー ドを上下逆にならないように安全ピンで身体の前後につけるところ まで、すべてを仲間の皆さんがフォローしてくださった。自分自身 の出走準備(更衣からエネルギーの補給もある)もあるので、かな り気ぜわしい。やっとのことで自分の準備を終えたころには、Sさ んもウォーミングアップの準備が出来ていて、軽く15分ほどジョ グ。本来ならば自分のことをてきぱきとこなし、Sさんにも気配り するべきなのに、すべてまわりのお仲間に頼ってしまった。 私達は一番後ろのブロックから予定通りキロ5分45秒くらいで走 り始める。泉州マラソンでは、ブラインドランナー一人につき、伴 走&サブ伴走として、2名のランナーが認められているので、スター ト時の雑踏をすり抜けるにもガード役を果たしてくださり、とても 助かった。 おまけに給水所では、サブ伴走の方が先回りして、わたしとSさん2人 分の紙コップをとってくださる。伴走のわたしが左手に伴走のロー プを持っていて、すべての給水所がコースの左側にあるため、わた しの右手で2人分の給水を取るには至難の業だったのだ。さらにレー ス前半では、ナンバーカードをつけた見知らぬ男性ランナーが、私 たちの後ろに廻ってくださり、無理な追越をするランナーからわた し達を守ってくださった。 沿道の風景を言葉で伝えたり、だんじりばやしの声援を受けながら 前半は快調なペース。ところが、Sさんがやや体調不良であったこ とも手伝って、半分を過ぎてだんだんペースが落ちて、トイレロス (トイレに案内するときは、女同士でよかったと思った!)なども あり、途中数箇所に設けられている関門がだんだん心配になってき た。 25キロを過ぎてさらに脚が重くなったようで、途中から降り出し た雨にもたたられ、後半はかなり全身に疲れが出てきたようだ。3 1キロの関門を45秒だけの余裕で通過。33キロからは大きな橋 ののぼりが待っていることを考えると、ほとんど貯金もない。 橋のたもとにはSさんの応援隊が待っているはずだ。「みんな、待っ ていてくれますよ、しっかり走ってたどり着きましょう。」案の定、 先に沿道からわたし達の姿を見つけてくれて、大きくチアホーンが 鳴った。「あそこに居てくれている!」もう一度彼らの前を通過す るためには、4たびのブリッジを越えてこなければならない。 Sさんももちろん、懸命に前に前に足を動かしている。しかし身体 は疲労困憊状態。「最後までしっかりいい走りをしましょう。」と ずっと声をかけながら走っていたのだが、二つのブリッジを越えて、 37キロの関門を40秒オーバーで目の前で閉鎖されたとき、わた しのほうが泣けてきた。Sさんもしばらく、言葉も出てこないほど だった。Sさんを無理にひっぱり過ぎたのではないだろうか、それ に、自分がもっといっしょに練習できていれば、とも思えた。 ゴール会場にはいとこさんとご両親が迎えにこられていて、温かい 車で帰途に着くことができたようで良かったと思う。身体を酷使し た状態で、白杖を片手にまわりに神経を張り巡らせて電車を乗り継 ぐ家路など、とても忍びない。 今回はわたしが自分のことにアップアップで、やっと体調を合わ せることが出来たのだが、私自身の体調管理だけでなく、Sさんさ んの体調もフルマラソンに向けて上向かせてあげることができるほ どの親密さを持って一緒に準備しなくては、伴走など務まらないだ ろう。自分の無力さを感じてしまった。自分がもっと強く大きくな らなければ、とも思う。 さらに今回は、日頃Sさんさんといっしょに走っている人たちに応 援&サブ伴走などいっさいがっさいお世話になった。Sさんと一緒 に走りたいというお仲間はいっぱいいるのに、皆さんを差し置いて わたしが伴走のロープを持たせていただいたのだ。 Sさんさんのお人柄で、周りは暖かい人でいっぱいだ。そのこと に触れることができただけでも、わたしの心も温まっていく。今回 の出会いにほんとうに感謝。そして、今回だけに終わらせることな いよう、これからも細く長く、かかわっていければ、と思っている。 |
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